| 旅の友「駅弁」。館長が食べた駅弁を中心に、日本全国と世界の駅弁を紹介します。
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四角い木箱に駅弁を山積みして、列車のお客さんを相手にホーム上で販売する、駅弁の立ち売り。駅弁の販売形態の原点でありながら、最近はほとんど見ることがなくなりました。 駅弁立売の実施駅については当館への問い合わせが多い事項ですので、館長の調査と談話室(掲示板)に来られた方々のご協力で、2002年12月時点での駅弁立売駅をまとめました。以後、館長の現地訪問や談話室への情報提供などを基に、内容の更新を続けています。 駅弁資料館では引き続き駅弁立売の情報を求めています。情報をお持ちでしたら談話室(掲示板)でのご提供をお願いします。 なお当館では、駅弁立売の定義を「何らかの販売用容器に駅弁を収め、売り子がその容器を持ち上げて駅のホーム上に立ち、その状態を保持したままホーム上を移動、駅弁と代金を交換する形で販売する形態」としています。例えば、販売用容器がスーパーのプラスティックかごであっても駅弁立売と見なし、逆に鉄道省時代の公式な駅弁販売用容器を使用していても脚立等に置いたままの販売では、駅弁立売と見なしていません。 ・→台湾の駅弁立売情報へ 駅弁立売駅 日本国内で駅弁の立ち売りが実施されている駅は、当館の情報では2006年11月現在で10駅(うち1駅休止中)を確認しています。なお、日中に訪問すればほぼ間違いなく駅弁立売に出会える駅は、美濃太田と折尾の2駅だけではないかと思われます。 夏の観光シーズンに限り、ホーム上で「いかめし」の立ち売りがあるそうです。髪を染めて服装の乱れた若者のだらしない販売風景が見苦しいとの報告がいくつもあり、評判は芳しくなさそうですが、一方で欧米を除く諸国の駅での物売りを思わせる、日本離れした販売形態と見ることができるかもしれません。
主にお昼時の列車の発着に合わせて、ホーム上で「浜のかにめし」などを販売しています。蛍光色の駅弁立売がテレビや雑誌で紹介される機会も多いのですが、駅弁立売用の四角い容器を机に置いての販売になることもあります。 ほぼ毎日朝7時半頃から14時過ぎ頃まで、東北本線ホームに駅弁立売が出ており、「とりめし」など3種類前後の駅弁が販売されています。昭和の頃は十数名の駅弁立売が出ていたそうですが2002年までに1名に減少、しかし2003年春頃から複数名での販売が目撃されるようになり、同年秋には駅弁屋2社がそれぞれ2〜3名の駅弁立売人を抱えているとの情報もあります。ただ、2005年頃から目撃情報が少なくなっている気がします。2006年9月発売のムック「駅弁万歳!」で休止中と紹介されました。
昼飯時の限られた時間帯に、右の写真のようにホーム上で「幕の内弁当」「山菜おこわ」などを販売しているそうです。かなり以前から駅弁の立売が実施されているそうですが、駅弁立売駅としてはほぼ無名の存在であるのはもったいない気がします。 月刊誌「旅の手帳」2002年5月号の駅弁立売駅リストに入っており、談話室にて2002年夏の目撃報告をいただきました。その後の紹介例を見ていませんが、とりあえず駅弁立売駅として扱います。駅弁立売用の四角い容器を机に置いての販売になることもあります。
右の写真のようにホーム上で「松茸の釜飯」の立売が見られることがあります。日中の高山方面または多治見方面の列車の到着時には、立売で駅弁を購入できる確率が高いようです。
鹿児島本線4・5番(上り)ホームで9時頃から17時頃まで、「かしわめし」「かしわめしおりお」「鯖棒寿司」を販売しています。駅弁立売がルーツである調製元の方針として、今後も駅弁立売を続けていくのだとか。現在の立売人は特急車内販売への積込人を兼ねた1名だけですが、テレビや雑誌などで紹介される機会が多くなり、人気や目撃報告も上がったようです。 全国最新の駅弁立売復活駅かつ立売業者新規参入事例。特急列車の発着に合わせて「とり天弁当」などが、ホーム上で立売にて販売されるそうです。大分県の食品製造販売業者が大分の名物発信をと、駅ホーム上での立売をJR等と数年間の交渉し、2006年9月23日に別府駅で実現したもの。改札外高架下商業施設内の売店でも購入できます。 ![]() 「しんぺい」「いさぶろう」「九州横断特急」の発着時の一日4回、ホーム上で「栗めし」「鮎ずし」「幕の内」が立売で販売されることがあるそうです。2004年3月の九州新幹線の開業に合わせて行楽列車が強化されたため、行楽期や土休日の立売目撃報告は増えている感じです。駅弁立売人は1名で、後継者はいないのだとか。普段は改札外駅舎内のキヨスクや、駅前の駅弁屋で駅弁を購入できます。
1999年の急行列車廃止により取り止めた、ホーム上での売店営業と駅弁立売を、2004年3月の九州新幹線部分開業に伴う臨時特急「はやとの風」新設に伴い復活させたようです。駅弁は幕の内弁当1種類だけ。少なくとも繁忙期や行楽シーズンの、日中の観光列車の発着時には、幕の内弁当1種類にお茶とビールを抱えた駅弁立売が出ているようです。 駅弁立売の可能性がある駅 近年に駅弁の立ち売りが実施されているという情報はあるが、その事実が確認できていない駅は、当館では2006年10月現在で2駅を確認しています。 月刊誌「旅の手帳」2002年5月号の駅弁立売駅リストに入っており、談話室にて2002年夏の目撃報告を1件だけいただいたものの、以後は台売りの報告しかなく、立売の写真も出ていません。普段は改札前で、立売容器を使った駅弁の台売りが実施されているようです。 月刊誌「旅の手帳」2002年5月号の駅弁立売駅リストでは駅弁立売があるとの記載がありますが、目撃や購入の報告はありませんし、雑誌等での紹介例も見たことがありません。ただ、山形新幹線下りホームで駅弁立売用の四角い箱に駅弁を入れ台に置いての駅弁販売はあるため、立ち売りの可能性は否定できません。 駅弁立売がいつでも開始できそうな駅 近年に駅弁の立ち売りが実施されているという情報はありませんが、昔ながらの駅弁立売用容器をホーム上に備え、すぐにでも駅弁立売が開始できそうな駅は、当館では2006年4月現在で2駅を確認しています。 この駅で近年に駅弁立売が実施されたという報告はありません。しかし以前から山形新幹線ホームの付け根で、駅弁立売容器を用いた駅弁の台売りが続けられており、これを持てばいつでも駅弁立売ができそうに見えます。 この駅で近年に駅弁立売が実施されたという報告はありません。しかし2006年1月時点で1番(下り)ホームのキヨスクでは、駅弁立売用容器をアイスクリーム販売用ケースの上に置いた駅弁販売が実施されており、これを持てばいつでも駅弁立売ができそうに見えました。 番外 駅弁の立ち売りとは呼べないものの、それに近いことが実施されていたり、イベントとして駅弁立売を実施する駅は、当館では2006年4月現在で6駅を確認しています。 駅舎内やホーム上で二社が交互に駅弁を販売しています。ホーム上では小さなワゴンを出しての台売りが実施されますが、2005年3月にはこれをホーム上で移動しながらの販売が報告されました。 早朝深夜を除き、ホーム上で「峠の力餅」を立売で販売しています。商品が弁当でないため駅弁の立ち売りではありませんが、貴重な光景であることに違いはありません。 この駅は実在せず、臨海副都心の商業施設「デックス東京ビーチ」内「台場一丁目商店街」にある仮想の駅で、実際に駅弁販売に使用された販売容器を用いて昔風の駅弁を立ち売りするものです。ただ、現存は確認していません。 2004年5月3〜5日の三日間、5月1日のJR西日本「駅弁の達人」キャンペーンとそれに伴う北陸沿線新駅弁六種の発売を記念して、同駅約30年ぶりという駅弁立売が実施されたそうです。後のリバイバル列車の運転時にも駅弁立売のニュース映像や目撃報告があり、今後も時々見られると思われます。 上りホームで手押しワゴンに駅弁を積んでの移動販売が見られることがあります。駅弁の立ち売りではありませんが、貴重な光景であることに違いはありません。 普段は駅弁の立ち売りはありませんが、駅弁の日やイベント開催時に、明治時代の駅弁立売の衣装姿にて、山陽本線ホームで「幕の内弁当」を販売するそうです。 最近に駅弁立売がなくなった駅 おおむね2000年頃に駅弁の立ち売りが実施されていた、または実施されているという情報があったものの、現在は実施されなくなったことが確認された駅は、当館では2006年10月現在で10駅を確認しています。 北海道を代表する有名駅弁「かきめし」を擁する駅です。駅自体は釧路と根室の間の特急や急行の来ない小駅で、普段は駅舎内キヨスクに1〜2種類の駅弁が置かれるだけですが、テレビ番組や観光シーズンやイベント列車運行時などでの立売販売目撃報告がいくつかあります。2006年9月発売のムック「駅弁万歳!」に、理由は不詳ですが立売ができなくなった旨の記述があり、今後に駅弁立売が実施されることはなさそうです。 ホーム上で「かにめし」を販売しているそうです。雑誌等で紹介される機会は多く、近年まで立ち売りが存在していたことは確かなものの、最近の目撃や購入の報告がないため、確証は持てません。立売販売の需要低下により、立売再開の見込みがないという情報もあります。2006年9月発売のムック「駅弁万歳!」に、立売が思い出話になった旨の記述があり、今後に駅弁立売が実施されることはなさそうです。 2002年末頃現在で「鳥海釜飯」「ササニシキ弁当」「きらきらうえつ弁当」の3種類を、主に新潟方面行の特急列車の発着時刻に合わせて、立売で販売していました。しかし2005年秋頃の駅弁業者の撤退により、立売は駅弁ごと失われたようです。 この駅は最近まで駅弁立売駅でしたが、2002年9月15日限りで福知山駅弁が駅弁販売から撤退し、豊岡の駅弁屋が営業を引き継いだ後には、駅弁立売の目撃報告がありません。交通新聞社の月刊誌「旅の手帖」2003年7月号の記事によると立売は休止中で、しかし2004年夏発売のJTBムック「青春18きっぷの旅2004夏」には駅弁立売の写真が掲載されています。しかし2005年11月の駅高架化により、構内営業そのものが失われたため、駅弁立売の可能性もなくなったと思われます。 特急列車の発車時に限り、ホーム上の仙台寄り階段付近で駅弁の立ち売りがあったそうで、2003年8月には正に立売という本格的な駅弁立売の目撃報告をいただきました。しかし2005年5月限りで、駅前整備事業により調製元が廃業したため、駅弁が立売ごと消滅しました。その後は水戸と日立の駅弁屋さんがホーム上に駅弁売店を構えたため、今後に立売が実施される可能性は小さいと思います。 多客期、ハイシーズンに限り、駅弁の立ち売りがあったそうです。談話室では2003年と2004年の8月に目撃報告がありました。しかし2004年9月限りで調製元が駅弁から撤退されたようですので、今後に駅弁立売が見られる可能性もなくなったと思われます。
この駅で特急列車同士の併結や分離があるときに限り、右の写真のようにホーム上で「だるま弁当」をスーパーのかごで立ち売りしていました。しかし2004年までにホーム上の売店ごと駅弁販売がなくなったそうで、立売も同時に消えたと思われます。
月曜を除く11〜13時頃に、右の写真のように鹿児島本線上りホームで「がらっぱ弁当」を立ち売りしていました。駅弁での街おこしを目的に2000年3月から始まったもので、カッパに扮装したおじさんが販売するユニークな形態は、静かに知名度を上げつつありました。しかし2004年3月の九州新幹線部分開業の後に、駅弁立売の目撃情報がないようです。 2003〜2004年の冬休みシーズンまで、夜行を除く特急列車の発車前にホーム上で立売スタイルでの駅弁販売がありました。稚内駅弁はこの立売人ひとりで製造と販売が手掛けられていましたが、その方が2004年1月10日に亡くなったため、立売は駅弁販売ごと消滅したそうです。 久大本線ホームで「鮎すし」など全4種類の駅弁を販売していた可能性がありましたが、目撃や購入の各報告に相違が大きいため、確証は持てませんでした。駅弁業者が2003年9月限りで駅弁販売から撤退した模様。 コラム・駅弁立売がなくなる理由 かつては駅弁販売の形態の標準であった駅弁立売が、現在ではほとんど見られない主因は、立売では駅弁が売れないからだと思われます。かつては一日一人千個販売という時代があったものの、現在では十数個程度が精一杯という話もあり、これでは立売人の人件費も賄えません。 鉄道のスピードアップが駅での停車時間を削減し、窓の開かない特急列車の増加は立売人と乗客との距離を遠ざけたため、立売での販売では駅弁が売りにくく、かつ売れにくくなり、売店や車内での販売に置き換わりました。人件費の増大やきつい職業の敬遠によるなり手のなさも、立売衰退の一因かと考えられます。 また、汽車での長旅は新幹線や特急列車、または航空機や自動車の利用に移行した上に、移動時間の短縮は旅行中の食事の必要性そのものを減退させます。さらにホカホカ弁当やコンビニエンスストアの登場、国鉄の合理化や余剰職員問題に端を発す駅構内売店や飲食店の激増も加わり、駅構内での駅弁の需要そのものが、最近三十年間に渡り年々減少しています。 駅弁販売は、例えば航空の機内食に相当するような鉄道の付帯サービスではなく、それ自体で独立採算を求められます。もはや駅弁の立売は、観光の振興や駅弁立売文化の保存などを目的にした慈善事業と言えるでしょう。 ここに、著名な観光地を抱える駅などでの新たな駅弁立売の登場が考えられるのですが、こんどは以前は考えられなかったほどに厳しくなった安全への配慮がそれを阻むことがあります。昔のように列車が発車しても走りながら金銭と弁当を交換するなど論外、イベントで企画された駅弁販売のプロによる立売が鉄道会社の難色で実現できなかったケースもあるそうです。 21世紀に辛うじて生き残った駅弁の立売は、過去帳入りへのカウントダウンが続いています。 |