| 旅の友「駅弁」。館長が食べた駅弁を中心に、日本全国と世界の駅弁を紹介します。
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1.疑義駅弁について テレビや雑誌などで年間を通して何度も駅弁紹介の特集が組まれたり、秋冬のスーパーやデパートで駅弁催事が企画され多くの買い物客を集めたり、駅弁に対する注目度は引き続き高位を維持しているものと思われます。その紹介や販売の方法を見ていると、旅情や郷愁を誘ったり、地域の特産物や名産品あるいは名所旧跡などを取り入れたりしていますので、普通の方々が駅弁に対して持つイメージはそういうものなのでしょう。 駅弁特集や駅弁催事があると、通常より雑誌や店舗の売れ行きが良いなどという話も聞きます。しかしそれに乗じてか、とても駅弁とは呼べないような商品に駅弁を名乗らせて、デパートやスーパーの駅弁催事で販売するケースが目に付くようになりました。あるいは駅弁サイトの制作を手掛けてから、またはネット上で駅弁情報を交換するようになってから、気が付くようになりました。 駅弁には、旧国鉄や一部の私鉄が駅弁だと認めている商品から、販売業者が自ら駅弁と名乗るだけの商品まで、あるいは駅弁と名乗らないもののその外観や中身や販売形態などから駅弁と呼ぶに相応しい商品や、その逆の商品など、様々な形態の商品が混在しています。また、当館「駅弁入門」に記載するとおり、駅弁には確固たる定義がないため、駅弁には本物がないかわりに偽物もありません。 しかし、実態を知れば購入者や消費者に失望を与え、駅弁全体に疑惑の目が注がれイメージダウンを招きそうな商品は、ニセモノと呼ばざるを得ません。当館ではそのような駅弁を「疑義駅弁」と名付け、次のような定義を与えたうえで、その定義をすべて満たす駅弁を紹介し、この問題を提起することとしました。
当館で疑義駅弁と認定する商品の紹介箇所には、右のようなアイコンを付けていきます。また、次の定義をすべて満たす駅弁も、疑義駅弁と呼ぶことにしました。
館長の見解の整理に伴い、上記定義の4番目を改定しました。 2.今後も販売が予想される主な疑義駅弁(2007年5月時点) (1)駅弁催事で輸送販売される静内駅弁 ※2007年5月補訂
「子持ししゃも昆布めし」(1,000円)、「襟裳黄金はらこめし」(1,000円)、「襟裳うにイクラ蟹弁当」(1,300円)など。2003年11月の大手スーパー駅弁催事で突然に登場した駅弁群で、その後も同じスーパーで販売が続いています。調製元はすべて「西谷辨當店」。 上記調製元と所在地が同じである、北海道静内郡静内町の西谷弁当店は、かつて国鉄公認の駅弁業者で「とりめし」などを静内駅で販売しており、現在も駅構内でそば屋を営業していますが、駅弁販売は1990年代に終えました。疑義駅弁の指摘を受けてか、2005年春頃から上記商品とは異なる「いかめし」のみ一日2個だけ売り、他の駅弁の空き箱を店内に積み上げる一方で、事前予約でも現地販売は応じない体制を整えたそうです。2006年からは駅弁催事期間中だけ上記商品を札幌から数点ずつ輸送し駅で売っているそうで、まるでアリバイ作りだと指摘されてもいます。 なお、静内駅弁でも静内ウエリントンホテルの「日高つぶめし」(900円)は、疑義駅弁ではありません。ただ、実演ではない遠隔地販売はないようです。また、「日高名物北海いかめし」(500円)は、現地で西谷弁当店が同じものを販売している模様です。 (2)駅弁催事で輸送販売される深川駅弁
「蝦夷いくら弁当」(980円)、「蝦夷みっくす弁当」(980円)、「あったか〜い蝦夷かに釜めし」(1,200円)など。2003年秋までには中堅スーパーの駅弁催事で登場していたそうで、その後も同じスーパーで販売が続いています。調製元はすべて「高橋商事SH」。 上記調製元と所在地と電話番号が同じである、北海道深川市の高橋商事は、現在も駅舎内で毎日駅弁を販売するほか、深川の銘菓「ウロコダンゴ」の製造元でもある旧国鉄公認の駅弁業者で、土休日限定商品「番屋めし」は名物駅弁の地位を築きつつあります。しかし上記商品は現地での商品紹介も販売もなく、予約注文も無理なようです。 (3)駅弁催事で輸送販売される稚内駅弁 ※2007年5月更新
2006年に「雲丹めし」(1,260円)、2007年に「鮭のカマ弁」(880円)を確認。調製元は「稚内駅立売商会A」。電話番号が「0120-32-3190」。 稚内駅弁は、2004年1月に調製と販売を一人で一手に引き受けていた駅弁屋さんが死去したため、いったん消滅しました。ところがその当時の商品がその後も稚内駅弁としてデパートやスーパーの駅弁催事で売られ続け、新作まで登場しています。亡くなる2日前まで極寒のプラットホームで駅弁立売を続けた御主人に対する、あるまじき裏切り行為だと個人的には思いました。 なお、調製元が「有限会社ふじ田」である稚内駅弁は、稚内駅構内食堂での予約販売と特急「スーパー宗谷」での車内販売がありますが、駅弁催事向けの商品はこれらの商品と比べて、価格と商品名が異なるようです。 また、2004年1月から約2年間は現地販売の実態がなかったと思われる「最北帆立駅弁」(880円)と「さいほくかにめし」(940円)は、現在は稚内駅キヨスクで販売されているそうです。 (4)駅弁催事で輸送販売される大牟田駅弁 ※2006年2月追加
「有明海の貝柱寿し」のみを確認。調製元は大牟田駅弁有限会社。 上記調製元は福岡県の鹿児島本線大牟田駅で「たいらぎ寿し」と「幕の内弁当」を販売する旧国鉄公認の駅弁業者。2005年10月のJR九州「九州の駅弁ランキング第2弾」に合わせてこの新商品を開発し、しかし大牟田駅では売らず、予約すると中身がほぼ同じと言って「たいらぎ寿し」で代用し、全国各地やJR九州の駅弁催事で売りさばいています。 なお、当館収蔵の写真は、博多駅の駅弁催事売店での購入商品。関東地方の大手スーパーで見た商品は、現地では見られない経木の正方形容器を使用した本格的なものでした。 (5)駅弁催事で売る「かきめし」以外の厚岸駅弁 ※2006年2月更新
現在は「氏家さん家の厚岸たこめし」、過去には「いくら」(840円)、「うなぎ」(840円)など。調製元は「有限会社氏家待合所」「氏家待合所」など。 上記調製元と所在地が同じである、北海道厚岸郡厚岸町の掛紙記載「厚岸駅前氏家待合所」は、現在も駅舎内キヨスクに毎日駅弁を卸す旧国鉄公認の駅弁業者で、「かきめし」は北海道や日本を代表する名物駅弁です。しかし少なくとも北海道以外の駅弁催事で販売する「かきめし」以外の商品は、厚岸駅での販売実態がないようです。 2004〜2005年の駅弁大会シーズンでは、調製元電話番号の末尾で本物と疑義駅弁が区別できましたが、翌シーズンではどちらも同じ電話番号を掲載しているようです。ほとんどのケースで疑義駅弁と併売される「かきめし」は、厚岸駅でない場所で製造していると思われますが、風味は以前の実演販売より現地版に近付いています。 (6)「摩周の豚丼」以外の摩周駅弁 ※2007年5月更新
今のところ「摩周のラム丼」と「摩周の牛丼」のみを確認。調製元はすべて「ぽっぽ亭T」。 商品のパッケージに所在地や連絡先が記されるぽっぽ亭は、2005年1月の京王百貨店駅弁大会での「摩周の豚丼」実演販売を機に事実上、釧網本線摩周駅の駅弁業者となった駅前食堂。しかし駅で売る弁当や、食堂のメニューや、摩周駅での収穫報告にはラム肉のものがありません。商品そのものはかなり美味ですが、摩周駅で売らず駅弁催事で摩周駅弁として売る疑義駅弁だと思われます。 3.疑義駅弁に該当する可能性がある商品 (1)関東以西の小規模催事で輸送販売される多くの北海道内駅弁 ※2006年1月追加 札幌を除く北海道各地を名乗る駅弁について、スーパーや百貨店で週末の2日間あるいは一週間程度、数種類から数十種類の駅弁や空弁の輸送販売を実施する、中小規模の催事で売られるものは、ほぼ全量が現地の駅弁と異なり、「製造委託」により調製されていると思われます。 製造委託そのものは、下請法その他の法律で定義され認められる商取引。テーマパークで売られるチョコレートやクッキーなどで、テーマパークの名前で販売される商品がその一例。一部の空弁や大都市私鉄の駅弁にも実例が存在します。 現地では駅弁屋が駅弁を作って駅で販売し、例えば東京では近郊の食品工場で駅弁模倣品を作ってスーパーやデパートで販売する形態も、直ちに問題にはなりません。しかし少なくない購入者は、駅弁を現地で作っていないなど夢にも思わないようですし、実際にスーパーや販売員は「現地で作って航空便で持ってきた」と宣伝し紹介しているため、これは問題となります。 その見分けはだいたい、現地販売品と催事販売品で、掛紙や調製シールに記載されている調製元の名前を比較することで可能です。なお、京王百貨店新宿店レベルの百貨店著名駅弁大会での輸送駅弁は、実際に現地から運んでいる可能性が高いと思います。また、実演販売の駅弁は、現地で調製していないことが明白ですので、ここでは疑義駅弁と見なしません。 (2)駅弁催事で輸送販売される小淵沢駅弁の一部 ※2006年2月追加
「豊かな大地の恵み」「極松茸・鮑入り甲州釜めし」など。調製元は株式会社丸政。 上記調製元は山梨県の中央本線小淵沢駅で「元気甲斐」などを売る旧国鉄公認の駅弁業者で、中央本線で最も元気な駅弁販売駅であり駅弁業者だと思います。しかしどうも、スーパーやデパートの駅弁催事で売る商品には残念ながら、小淵沢駅で売る気や予定がないものが含まれているようです。 駅弁業者の公式サイトに掲載がないか販売未定旨の案内があったり、地元新聞の公式サイトで記事になっていない商品は、疑義駅弁である可能性が否定できないと思われます。 (3)日本古窯弁当シリーズの各商品 ※2006年2月補訂
2001年に6種で登場したと思われる、焼き物の茶碗を容器に使用した駅弁大会専用商品。その後も新作がリリースされ、現在は下記の9種があると思われます。
ただ、少なくとも調製元と中身には実態がありますので、疑義駅弁と断定することには少々の抵抗感はあります。また、和田山駅版の現地調製のテレビ報道や、西明石駅版の駅弁大会シーズン時現地販売の情報提供は耳にしています。なお、2005〜2006年の駅弁大会シーズンでは、阪神百貨店を除き上記商品の取り扱いを縮小しているように感じられます。 4.過去に販売された疑義駅弁 (1)芝山鉄道芝山千代田駅弁
「花花弁当」(1,000円)と「洋風釜飯パエリヤ」(800円)の2種が、2002年1月の京王百貨店新宿店駅弁大会で、催事の目玉の一つとして開業前の先行販売という位置付けで大々的に実演販売された、未開業駅の駅弁です。 しかし同年10月に鉄道が開業しても現地での駅弁販売はなく、開業日や鉄道開業記念式典でも商品を見ることはありませんでした。世界最大の駅弁大会において最大の目玉商品として大ウソを付いた、駅弁の歴史に残る偽駅弁です。 (2)新神戸や西明石の駅弁を名乗る駅弁大会記念商品 ※2007年5月補訂
2005年1月販売の「どんなもん鯛」(980円)など。調製元は新神戸や西明石など神戸エリア各地で駅弁を販売する株式会社淡路屋。 これらは掛紙やパッケージのデザインから分かるとおり、百貨店やテレビ番組とのタイアップという性格が強い商品で、もともと駅弁と呼べるものではないと思われます。しかし、そのパッケージに駅弁マークや特定の駅名が書かれ、駅弁大会の現地やチラシで駅名や駅弁を名乗るうえに、実際に駅で買えたという報告が皆無(あるいは掛紙や容器に特定の駅弁大会名やテレビ番組名があるため駅でそのまま売るのは不適当か)ですので、疑義駅弁と見なせる可能性を感じます。 なお、調製元そのものは、現在も新神戸・三ノ宮・西明石など神戸エリアの各駅で駅弁を販売する、旧国鉄公認で国内を代表する大手の駅弁業者で、その商品の品質や一部ユニークさには定評があります。また、テレビ番組とタイアップし阪神百貨店で売った、2005年1月発売「魔法の寿司弁当」(999円)、2006年1月発売「魔法の超スタミナ弁当」、2007年1月発売「勝訴弁当」は、催事期間中にごく少数ながら新神戸駅でも販売があったようです。 (3)横浜駅弁の駅弁大会記念商品
今のところ2005年4月販売の「特製幕の内弁当」(1,200円)のみを確認。調製元は横浜名物シウマイを生んだ日本を代表する駅弁屋である崎陽軒。 JR東日本の子会社である日本レストランエンタプライズ(NRE)が、2005年4月9,10日に東京駅で開催した、駅弁の日記念駅弁大会で横浜駅弁として販売されていた商品。会場や広告での紹介に加え、現地では「シウマイ御弁當」の掛紙にしか入らない駅弁マークを掛紙に掲載し、見た目に駅弁としか見えませんが、横浜エリアや公式サイトでは、販売はもちろん商品の告知さえもされませんでした。つまり、駅弁の日記念弁当ではなく、横浜駅に実態のない駅弁の日記念駅弁大会記念専用弁当。今後にそのような商品が登場しないことを願います。 なお、翌2006年4月8,9日に開催された同種催事でも同様の商品が販売されましたが、広告や掲示での紹介はありませんでした。ただ、催事場に駅弁でも復刻記念商品でもない弁当の販売はなかったため、前年に引き続き横浜の駅弁と勘違いされて購入されていったものと感じられます。2007年4月の同種催事では特別版弁当の販売がありませんでした。 5.疑義駅弁と疑われることがあるが、そうではない本物の駅弁 (1)摩周駅弁「摩周の豚丼」
2005年1月の京王百貨店新宿店駅弁大会において、目玉のひとつである豚対決のために、鹿児島県出水駅弁と共に新規開発された地域弁当。北海道の釧網本線摩周駅に駅弁はなく、調製元は駅前のレストランであり、掛紙にはその実態を表して「摩周駅”前”」の文字が印刷されるにもかかわらず、百貨店がチラシやメディアの取材であたかも摩周駅弁であるかのように宣伝してしまったようです。 そのためネット上では偽駅弁だとの噂が立ち、各所に苦情でも入ったのでしょう、駅弁大会会期中に駅構内での販売が開始され、実演販売ブースには簡単な掲示が出ました。現在も駅構内での販売が継続されているそうです。全国版の月刊大判時刻表では摩周駅は駅弁販売駅でないままですが、商品そのものが非常に好評で知名度が上がっており、名物駅弁として認識されつつあります。 (2)森駅弁「いかめし」
日本を代表する駅弁で、駅弁大会での実演販売という新たな駅弁販売形態の開拓者で、現在におけるその王者。1941年に駅弁として誕生し現在でも公式と見なせる駅弁ですが、1980年代の一時期に駅での販売を取りやめていたことがあるそうで、鉄道雑誌などで非難されていました。その点で疑義駅弁の先駆者とも見なせます。 今は駅構内あるいは駅前で一年中毎日販売されており、夏季はホーム上に立売も出るそうですから、疑義駅弁ではありません。ただ、販売数量では秋冬シーズンの遠隔地実演販売が圧倒し、その割合は9割とも95%とも言われます。 (3)横川駅弁「峠の釜めし」
やはり日本を代表する駅弁で、関東地区の駅弁大会で行列をつくる人気駅弁。1958年の公式登場以来一貫して横川駅での販売が続いていますが、1997年の長野新幹線開業に伴う信越本線横川・軽井沢間と在来線特急「あさま」の廃止以来、横川駅での駅弁販売もなくなったという誤報が、多くのテレビや雑誌で流れています。紛れもない真正の駅弁であるにもかかわらず、疑義駅弁あるいは復刻駅弁や過去の駅弁と思われることがある、かわいそうな存在です。 しかしローカル線の終着駅となった横川駅にまともな駅弁需要はほぼなくなり、現在はドライブインやサービスエリア、長野新幹線での車内販売、秋冬の駅弁催事での販売が主流であると思われます。それでも実演販売や消費期限8時間を確保できない遠隔地での輸送販売は実施されないため、関東地方以外では幻の駅弁と見なされているそうです。 6.疑義駅弁が生まれる背景 疑義駅弁は世にほとんど知られていないため、それについて記したり考察した資料を目にしていません。また、当館の運営方針により各調製元への問い合わせもしておらず、運営者自身が駅弁業界との関連を持たないため、以下の考察は感想に近いものであり、客観的な根拠を持ちません。 メディアの情報は多くが東京から発信されます。東京駅と京王百貨店駅弁大会、あるいはそれに加えてせいぜい名古屋駅と(新)大阪駅と阪神百貨店駅弁大会の状況を見れば、記者は駅弁がますます盛況とのイメージを持って記事にしますし、視聴者や読者にもそのイメージが植え付けられます。しかし実態は四十年来の衰退産業。駅弁業者や販売駅は年々減り続けて今や最盛期の1/3程度、近年でも年に数件の業者倒産や撤退が続いています。 実演や輸送による遠隔地での駅弁販売は、そのギャップを利用した商売と呼べるでしょう。その主体は百貨店やスーパーであることも、催事屋であることも、駅弁屋であることもありますが、地元では市場が小さく販売が伸びないか困難な駅弁を、旅情と郷愁を付けて都会に持ち込めば、販売による直接的な収入の他に宣伝等の間接効果も望めるようです。 駅弁ファンの間では、現地以外の場所で販売する駅弁そのものに疑いのまなざしを向け、実演でも疑義駅弁でも現地で調製していない駅弁の存在を敵視する声もあります。しかし鉄道の衰退とホカ弁やコンビニの普及で、駅弁専業は相当な好条件を抱えていない限り不可能な状況にある中で、ウソでない範囲における現地での駅弁販売の存続に役立つ現地以外での駅弁販売は、個人的には肯定したいと思います。 北海道に疑義駅弁が集中するのは、鉄道網や公共交通の崩壊による駅弁需要の大幅減退と、人気の旅行地として注目され続ける土地との間により大きなギャップが存在することに加え、駅弁実演販売の開拓者である森駅「いかめし」の生誕地である地域に、そんなノウハウとネットワークが存在するのではないかと感じられます。 北海道には、現地でも売るけれど主戦場は駅弁大会という、疑義駅弁ではないけれど感心はできない商品が数多く存在しますし、その一部あるいは多数が、現地ではなく大都市近郊で調製されているとも聞きます。また、秋冬シーズンあるいは特定の駅弁大会に向けて駅弁の新商品を開発することは全国で一般的に行われています。これを一歩進めると、駅弁大会には出すけれど現地ではどうせ売れないから作らない、あるいはもともと現地で売る気のない商品、つまり疑義駅弁が生まれるのでしょう。 また、上記の事情とは全く別の仕組みで生まれる疑義駅弁もあります。近年は大規模な駅弁大会が新作商品の市場調査として利用されることがあり、そこに試作品を投入して好評ならば現地で商品化し、そうでなければ販売断念ということをするそうです。後者であれば疑義駅弁となり、しかし二度と販売されなければ誰も気が付かなくなります。 産地偽装問題や食品表示の厳格化など、食品販売に関するウソに対する世間の目が非常に厳しくなってきている中で、疑義駅弁が堂々と販売され商品が増殖さえしている現状は、駅弁業界全体にとって確実にマイナスの影響をもたらすと思いますし、最悪の場合には日本の駅弁文化が消滅する可能性さえ考えられます。 駅弁ファンや鉄道ファンは特に、駅弁は鉄道旅行になくてはならないものだと考えがちですが、欧州その他の諸外国、あるいは山陰や四国や埼玉県などの事例を見ていると、そんなことはありません。駅弁への信頼の確保、あるいは駅弁文化の存続を願うのであれば、悪質な業者や行動の淘汰や業界の健全化を望むとともに、消費者も百貨店やスーパーなり駅弁屋あるいは行政機関や相談窓口などに、苦情を入れたり情報を発信することが必要かもしれません。 7.その後の疑義駅弁に関する動き ※2007年5月更新 2005年7月25日に当ページを開設して以降、個人的に疑義駅弁問題の改善につながるのではないかという動きが少し出てきましたので、ここに記します。 (1)日本鉄道構内営業中央会で製造委託が話題になった ※2006年9月追加 日本鉄道構内営業中央会で、駅弁マークの使用について製造委託に関する議論があり、2005年秋に届出書提出のルールや『「駅弁マーク」使用規則』の改正を実施したそうです。 改正内容や規則の全文は分かりませんが、この事柄は「駅弁屋のホームページ(http://www.ekiben.or.jp/)」内「事業報告」に掲載されています。「現地以外の場所で販売する駅弁そのものに疑いのまなざしを向け現地で調整(ママ)していない駅弁の存在を敵視する声」がこの動機であることが分かります。 (2)輸送駅弁販売催事でチラシに調製地を書いた事例が出た ※2006年9月追加 2005〜2006年の駅弁大会シーズンにおいて年明け頃から、一部の中小スーパーの駅弁催事チラシで、森駅弁「いかめし」の写真に「この商品は群馬県内で製造しています」旨の注記が付くようになりました。 (3)駅弁大会専用駅弁を催事期間中には駅でも売るようになった ※2007年5月追加 2006〜2007年の駅弁大会シーズンにおいて、新作として催事場で実演販売を実施した駅弁のいくつかが、その催事期間中だけ駅でも販売されていたことを確認しています。スーパーなどに輸送販売される駅弁の一部にも、そういうものがあるようです。 (4)雑誌が疑義駅弁問題を取り上げた ※2007年5月追加 2007年5月発売の月刊誌「日経トレンディ」6月号が、「ブームの裏にあるもの 駅弁ビジネス過熱中!」のタイトルで、疑義駅弁問題を取り上げた模様です。 URL : http://eki-ben.web.infoseek.co.jp/ Copyright (C) 2001-2008 まっこうくじら All Rights Reserved. |